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影男のゲヱムと手袋

【3DS】『Jレジェンド列伝』 | main | 「PS Vita」購入しました
【DC】『AIR』
AIRAIR
(2001/09/20)
Dreamcast

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先日の記事でもちらっと言及していたDC版『AIR』をクリアしました。

ストーリー的な繋がりは一切ありませんが、KEYの3部作に数えられる『Kanon』に続く作品、ということで、コンセプトやキャラクターデザイン等類似する点は多いように思います。

『Kanon』については拙ブログでも以前にご紹介しました。その点を踏まえた上で、本作についての印象はアプローチは異なるものの、本質的な部分はあまり変わらないよねというのが正直なところです。

変わらないといって前作の2番煎じの駄作というワケでは決してなく、スケールの広がりから演出方法に至るまで、前作より確実に進化している点が多々見受けられます。

今回の感想では独立した作品として前作との比較対象を目的とせず、あくまで個の作品である『AIR』としての感想をものしたいと思います。

古い作品なんで大きな問題はないと思いますけど、過去の慣例に従い本文は追記にて。



DREAM編

ゲーム開始時に選択できるDREAM編は、メインヒロインである神尾観鈴に霧島佳乃、遠野美凪の各3つのエンディングが存在します。

主人公は”法術”と呼ばれる力で手製の人形を動かす芸で糧を得ている旅芸人の青年、国崎往人。主人公は幼き日から同じ生業であった母から「空のどこかに居る翼を持った少女」を探すよう教えられており、それが何となく旅の目的になっている。

有り金が尽きたところでバスを降りたとある田舎町で少女と出逢ったことから物語は始まる…。


本編の期間は7月の中旬から8月の中旬までの約1ヵ月間。DREAM編では文字通り”夢”がそれぞれのエピソードのキーワードとなっており、彼女たちとの関わりによって分岐するのは通常のノベルゲーのフォーマットを踏襲しているといえます。

とまぁゲームシステムやシナリオの導入部分は取り立てて変わった点はありません。本作が後の作品のスタンダードになっているとすれば当然といえば当然なワケですが、設定に付いては少々首を傾げたくなるようなものも。

特に主人公の国崎往人は旅芸人といえば聞こえはいいですけど客観的にはどう贔屓目にみても住所不定無職の不審人物。そんな人間が閑静な田舎町に流れ込んだら即通報レベルの怪しさなんですけど、そこは例によって女性から思わず声をかけてしまうような超絶イケメンということで無問題。

初対面であろうが無駄に横柄な主人公の態度もアレなんですけど、そんな不審人物に自ら近づいていく少女達も警戒心が決定的に欠如しているか、傍目には皆かなり頭の弱い子としか思えないw

まぁそれぞれの設定の意味は後々明らかになるんである程度ご都合主義的な展開になるのはやむを得ないといえますが、この手の作品に耐性のない方は序盤をいかに乗り切るかが鍵になりそうです。

序盤の冗長な展開を過ぎて個別のルートに入ってからが本作の真骨頂。…ということで以下ヒロイン別の感想を。ちなみに並びは私のクリアした順です。


■霧島佳乃(きりしまかの)


町に居る唯一の医者、霧島聖(きりしまひじり)の妹。両親は既に他界しており、姉の聖と二人暮らし。主人公とは謎の毛玉生物ポテトを介して偶然知り合います。右手に巻いた大きな黄色いバンダナが印象的な以外は快活な普通の女の子なんですけど、時々夢遊病のような状態になり、意味不明のうわ言を発するようになる。たまたまその現場に出くわした事が縁で、霧島診療所にアルバイトとして出入りするようになった主人公は、町外れにある神社のご神体である”羽根”にまつわる霧島姉妹の過去に触れ、自身の”法術”を使って佳乃の憑き物を祓うことに成功するが、その能力を失ってしまう…。

本作における霧島佳乃、遠野美凪のエピソードは最終章「AIR」に繋がる外伝的な内容です。
従って本シナリオで現されるガジェットはその伏線となっている為、単体では所々意味不明な箇所が出てきます。

その最たるものが終盤、神社で気絶している佳乃の胸に”羽根”をあてがった往人が”ちから”をこめた際に現れる白穂という女性のエピソードだといえます。

全体の流れから”羽根”には大昔のその女性の呪い(?)がかけられており、佳乃に憑依したと容易に考えられるのですが、何故直接手に触れた姉の聖ではなく佳乃なのか?…とかね。

本作全体のもうひとつのキーワードである”親子”が関係するような気がしますが、納得のいく解説はできそうにないです。

自らの身体の異常に気付き、主人公国崎往人に身を任せる件が本作をして唯一エロゲーであった痕跡を見出すことができるポイントなんですがまぁそれだけ。

普通にいい話だとは思いますけど泣く程ではないかな。最後の佳乃の夢の中での母親との会話は良かったです。

余談ですけど学校の屋上での主人公との会話の中で、何故か円谷プロのマイナー特撮「ファイヤーマン」の主題歌をフィーチャーしたセリフが特オタジジイ的にツボでしたw


■遠野美凪(とおのみなぎ)


本シナリオも続く「AIR」編の断片といえる内容です。常に美凪にまとわりつく親友の”みちる”の存在がすべてと言っていいでしょう。

幼き頃、妹として生まれてくるはずだった”みちる”を失ってしまった美凪の家族は、穏やかで優しい場所から一変する。元々父親っ子だった美凪に対し、母親は家族の中で軽い疎外感を感じていたのであるが、以後夫婦の仲は修復不能となり、父親は家を出て行ってしまう…。

残された母親が喪失感を埋める為に選択した手段とは、美凪を生まれてくるはずだった妹に置き換えること。
美凪の言い方を借りれば「夢の世界に生きること」であった。家の中では”みちる”として生きる美凪もまた、夢の世界の住人となることを選択したといえる。

そんな時に現れた”みちる”と過ごす時間は美凪にとって本当の意味で”美凪”であれる時間。一見穏やかに過ぎる日常は美凪とその母親の深い孤独と寂寥を隠す夢に過ぎなかった…。

そんな最中、唐突に母親の夢が終わることによってこの不思議な均衡は脆くも崩れ去る。”みちる”の不在を受け入れたものの、美凪の存在は空白のままであったのだ…ってそれ治ってないよ聖先生!

母親に美凪自身を受け入れてもらう為に家に戻るか否かで本シナリオの結末は変わるのですが、グッドエンドを選択した場合、”みちる”は消えてなくなってしまいます。

自分の”夢”を終わらせる決意をした美凪が初めて自宅にみちるを招き、母親も一緒に食卓を囲む場面は良かったと思います。あとラストの学校の屋上でフェンスを挟んで背中越しに語るシーンもグッときます。

みちるの話に因れば、自分を現世に存在させてくれた”空に居る少女”に美凪との楽しかった記憶を持って帰ってあげなければならないと。それで少しでも空の少女の悲しみを癒してあげないと…ということで本作の核心部分が少し垣間見えてきましたが、それもこれも全部クリアした後でようやく理解できる話であります。

後日譚で、母親と別れて遠い別の町で新たな家庭を築いていた父親から手紙が届き、自分に本当の妹(腹違い)が居ることを知らされます。で、その名前も姿も”みちる”そのものであったってちょっとしたホラーな結末なんですけどこの件必要だったかなぁ?せめて”みちる”が消えた後に生まれたとかなら何とか整合性も取れそうな気がするんですけどどうですかね?


■神尾観鈴(かみおみすず)


本作のメインヒロインである彼女は主人公 国崎往人がこの町で最初に出会う女性です。観鈴の逆ナンから成り行きで居候することになった国崎往人。母親の晴子と3人の奇妙な同居生活が始まるのだが、やがて観鈴が毎日見るという「時間を遡る夢」の話から段々雲行きが怪しくなってくる。

誰かと友達になりかけると突然発症する制御不能の癇癪。症状的には境界性人格障害に分類されるれっきとした精神病にカテゴライズされるのだが、母親の晴子はさほど深く心配している様子もなく、明らかに体調不良の観鈴を往人に託し、温泉旅行と称して家を出て行ってしまう。

国崎往人は観鈴の夢の話から日を追うごとに容態が悪化していく過程の中で、それまで断片的にしか残っていなかった自身の母親の「空に居る少女」にまつわる記憶を取り戻していき、観鈴こそ探していた少女であると確信する。

一旦は観鈴の傍を離れると決めた往人であったが、自分の本当の気持ちに従って再び観鈴の元に戻ってくる。
そして”法術”の力を使って観鈴の体調を回復させることに成功するが、自身の存在は消えてしまう…。


…我ながらまったくまとめきれていないというか、正直ワケが分からないのは私の筆力不足のみならず、本作の核心部分は以降のシナリオで語られるものであり、本シナリオ単体では物語は完結していないことに原因があります。ここは本作の順序に従って最終シナリオである「AIR」編に譲ることにしまして、続くすべての元凶である「SUMMER」編について書いてみたいと思います。


SUMMER編


物語はいきなり正暦(しょうりゃく)5年(西暦995年)、平安時代の大昔へと舞台を移します。
本編の年号は明らかになってませんが、副題の「The 1000th SUMMER」から考えると、1995年として問題はなさそうです。

ここでの主人公は柳也(りゅうや)という青年。翼を持つ貴人、神奈備命(かんなびのみこと)を守護する命を受けて赴任してきた官吏である。

神奈備命は翼人として崇め奉られているものの、実質は軟禁状態であり、自らの運命を受け入れて無為な日々を過ごしていた。ところへ現れた柳也は物怖じしない態度で、関心からやがて心を寄せるようになっていく。

神奈備命の傍にはもうひとり、心から気遣ってくれる裏葉という女官が居り、3人の奇妙な関係は穏やかに続くかに思われた。

しかし突然上役から神奈備命を別の社へ移送するとの通告を受ける。不自然な事態に不穏な動きを察した柳也は、裏葉と共に紀州の霊山に居るという神奈備命の母親の元へ連れ出す算段をする。


辛くも脱出に成功した3人であったが、程なくして社が正体不明の軍勢に襲撃されて焼け落ちる様を目撃する。

追っ手をかわし、闇に紛れてひたすら旅を続ける3人。やがて霊山に封印された神奈備命の母、八百比丘尼(やおびくに)を解放するが、追手の軍勢が放った矢に射抜かれて命を落としてしまう。今際の際、八百比丘尼は翼人として連綿と続く記憶のすべてを神奈備命に授け、翼人として覚醒した神奈備命は柳也と裏葉を救う為に呪いを一身に受け、空の彼方に囚われてしまう…。

神奈備命を助ける術を探すべく、旅を続ける柳也と裏葉であったが、襲撃を受けた際の傷は癒えることなく段々と柳也の命を蝕んでいく。やがて出会った知徳という僧から、翼人についての伝承を聞かされた裏葉は、その力の一部である”方術”の存在を知り、その力を習得するために知徳の元に居を落ち着けることになる。

”方術”によって神奈備命が現在見続けている夢を知った柳也と裏葉は、その尽きぬ悲しみに思いを馳せる。

神奈備命の悲しみを癒す為、子孫に引き継いでいくことを提案する裏葉。残った時間をすべて裏葉の為に過ごすと約し、やがて裏葉は子供を身ごもるが、柳也はその姿を見ることなくこの世を去ってしまう…。


本シナリオには選択肢が存在せず、ひたすらテキストを追いかける形となります。

「翼人」は夢を継ぐ存在
”法術”の原型
「翼人」と心を通わせた者の運命

等々、DREAM編で断片的に出てきた伏線の大枠は本シナリオで確認することができます。

序盤と逃避行の件が冗長過ぎるきらいはありますが、本シナリオ単独でも完成度は高いといえます。が、如何せん馴染みのない時代背景とファンタジー成分の強い設定の為、感情移入するのはちょっと厳しいかも知れません。

八百比丘尼が囚われている高野山の金剛峯寺の焼失は一応史実と連動しており(勿論原因はまったく違うがw)、シナリオに深みを与えています。当時仏教信仰の脅威として翼人信仰が目の敵にされ、翼人にまつわる文献その他もその際に抹消されたというのも歴史改変モノとしてはありがちですが、そこらへんの独りよがりな中二病的似非ファンタジーに比べれば遥にマシ。物語の全体像が窺えたところでいよいよ問題の「AIR」編に突入します。


AIR編


物語はDREAM編の観鈴シナリオの続き…ではなく、国崎往人と出会う一日前からスタートします。
ここでの視点は主人公 国崎往人が転生した飛べないカラスの”そら”

もう一度観鈴と出会った時からやり直したいという往人の願いは叶えられるのですが、国崎往人としての記憶は失っており、シナリオに一切介入できない傍観者として観鈴の最期を見届けるという無常観漂う内容となっています。

本シナリオでは主に観鈴の母親である晴子との関係が中心となります。

先のDREAM編で既に観鈴と晴子が実の親子ではないという事実は明らかになっているのですが、無関心を装っていたのはいつ実の父親が観鈴を連れて行っても平静でいられるよう情が移り過ぎないように意識していたということなんですね。それが図らずも「翼人」に心を通わせた者の運命を回避し、10年もの間何事もなく生活できていたという設定は秀逸だと思います。

観鈴が「翼人」の転生した存在への覚醒は間違いなく主人公 国崎往人に対する想いが引き金となっているワケですが、往人の存在は既に消失しており、楽しかった記憶が残っているのみ。本当は大好きな晴子を同じ姿にしない為にわざと冷淡な態度をとる件は切ないです。

カラスの”そら”はその様子をワケも分からず眺めているだけというのが何とももどかしく、往人や晴子の感じているであろう無力感以上の無力感を容赦なくプレイヤーに与えてくれます。

ここで描かれた奇妙な親子の姿については多くを語りませんが、クライマックスに至る描写は確かに感動的です。

ラストの子供の会話は1000年の長きに亘って繰り返されてきた悲劇が終焉を迎えたのかどうか判断に苦しむ点ですね。ただ柳也と裏葉の意志を継ぐ者(往人)が消失してしまった以上、神奈の悲しみを癒すことができる者が居なくなってしまうワケで、これが過程であるとするのはあまりに辛すぎる結末だと思います。


最後に総論。

上記でも何度か触れていますけど、シナリオのヤマに至るまでの過程がいずれも冗長過ぎて何度も寝オチしてしまった為に異様に時間がかかってしまいました(汗)まぁ私自身にも問題はあるんですけどもう少し小出しにしてメリハリをつけて欲しかったところです。登場人物が限られていますので、その分深く描写が掘り下げられているのは良かった点ですね。

あと全体的に音楽が非常に印象に残りました。オープニングの「鳥の詩」をはじめ、メインテーマともいえる「夏影」が特にお気に入りです。

これは前作「Kanon」でも思ったことなんですけど恋愛成分は極めて薄め。18禁版をプレイしたことはないんですが、どのシナリオにおいても恐らく違和感しか感じなかったと思います。いわゆる「抜きゲー」とは対極にある作品と言えますね。

なんか中途半端な書き方になってしまいましたけど日常のシーンがダラダラしている以外は本当に欠点らしい欠点がない作品なんですよ。ただしそれはあくまで物語部分。ゲームとしてはそもそもこれがゲームといえるのかってぐらいゲーム的要素は少ないです。テキストのスキップ機能も最近の作品と比べたらまだまだ洗練されていませんし、純粋に物語だけを楽しみたい方にとっては時間がかかりすぎますね。

ちなみに本作をプレイした勢いで以前CSで録画していたアニメ版全12話も一気見してしまいましたw

オープニング、エンディングは多少端折っているもののゲームと同じ。一部の声優は変わってますけど雰囲気はそのままです。

シナリオの構成上、佳乃と美凪のエンディングは観鈴のエピソードの中に包括されており、ゲームではなかった観鈴と佳乃の絡み等多少の違和感はありつつも無難にまとめていると思います。ぶっちゃけストーリーだけを楽しみたい方はこっちの方が手っ取り早いかもw

オリジナルの発売からかなりの年数を経て多機種に移植されていることから、この作品に対する支持の高さが窺えますね。DC版の中古なら今でも数百円で手に入ります。プレイできる環境にあるなら今更ですけどプレイして損はないと断言します。

この手のジャンルはとにかく時間がかかるんで続けてプレイするのは正直キツいんですが、本作の元祖ともいえる『輝く季節へ』か3部作のトリを飾る『CLANNAD』あたり忘れた頃にプレイしてみようかなw



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テーマ:レビュー・感想 - ジャンル:ゲーム

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